幼い頃、住んでいた家の庭には、ドクダミがたくさんなっていたんです。
ドクダミはヘンな匂いがします。
隣の家のフェンスで陰った湿った場所でたくさん生きていました。
光を浴びないので濃い緑の葉が群れます。
その側ではトカゲも暮らしていましたから。
うちでは動物を飼っていなかったのに、友達は勝手に私のうちではトカゲを飼ってるといって何故か一緒に喜んでいました。
そう、ドクダミは花を咲かせます。白いハートの形の花です。
それがとても可愛らしくて、和室の窓をいっぱいに開けて足を外に放り出して座り、
ドクダミの花の絵を描いていたんです。
私は花の絵を描くことが好きでした。
とにかく描くことが好きで漫画も描いていたけれど、やっぱり花を描くことが好きでした。
うちの和室の窓から見えるものしか描かなかったので、ユリとスイセンとドクダミを描くことが多かったです。
思えば全部淡白な花だったので、色味も色気もありませんよね。
ドクダミの庭は、私の幼少期と、暖かい昼寝の出来る縁側の思い出。
今は、もうその庭はいつの間にかなくなってしまったけれど。