「木の葉の背中」
今目の前を
風が吹き抜けるのを見た
すると木の葉が落ちてきて
その背中にぎっとしがみついた
緑の丘はもう秋めいていて
怖がりな君も
もう種を吹いていたね
風に乗って行って
肩を貸してもらって
ゆっくりでいいからね
めぐるめぐる季節の輪が
今日も私の目の前を
スルスルと横切っていくのね
ららら るるる
めくるめく季節の色が
今混ざり合う
なんて曖昧で曖昧な
めくるめく日々に風が吹き
今混ざり合う
何者でもなくなるような
そんなそんな気がしたんだよ
今日のこと 忘れないように きろく。レンゲ
「木の葉の背中」
今目の前を
風が吹き抜けるのを見た
すると木の葉が落ちてきて
その背中にぎっとしがみついた
緑の丘はもう秋めいていて
怖がりな君も
もう種を吹いていたね
風に乗って行って
肩を貸してもらって
ゆっくりでいいからね
めぐるめぐる季節の輪が
今日も私の目の前を
スルスルと横切っていくのね
ららら るるる
めくるめく季節の色が
今混ざり合う
なんて曖昧で曖昧な
めくるめく日々に風が吹き
今混ざり合う
何者でもなくなるような
そんなそんな気がしたんだよ
「ゆらめく夏の日」
ゆらめいてゆらぐ夏の真昼
陽炎の立ち上るのを見た
ああ行き場もなく伸びる木々の葉の手
ああその手の隙間溢れる日差し
すくいきれない光だった
柔らかな光が踊ってる塀沿いの路地
影の中で見た向こうは眩しくて
絶え間なく注ぐ夏の日差し
湖に手をかざすとたちまち
ああ波紋が広がっていくどこまでも
ああ密やかに伸びていく
チラチラとチラチラと
水面に写る日差しはそう星屑みたいで
そんな晴れた日の夢ならずっと見ていたいな
ああ光が踊ってる塀沿いの路地
影の中で見た向こうは眩しくて
ゆらめく夏の日
「 箱の中のあの子」
ありふれた言葉を並べている人たち
まるで映画みたいで箱の中で暮らしているよう
たとえ嘘でも
疑いもせず
涙を流すこともないのに
箱を被った子供たちが前からやってくるよ
お手製の銃をこしらえて
街中見回っている
ああ小さな穴から
のぞく鋭い目
なんだ夢か!
箱を被った人たちが街中に溢れていた
そんな夢で目が覚めたの
ああ、あの子も箱の中
ああ、あの子も箱の中
ああ、あの子も
「雪の朝」
「ねえ、雪が舞っているよ」
と外に飛び出す
二月の朝小さな手で泥混じりの雪を
手にいっぱいいっぱいすくっていたね
空に向かって手招きする
そんな真剣な目で
「ねえ、ここは南風が吹く村だから
仕方ないよね
白い太陽はいつも舟に乗ってやってきて
君をさらってさらってしまうから」
遠くを見ては夢を見る
そんな寂しげな目で
振り向きもせず待つ背中は
おとなびていたよね
いつか見せてあげたい
声も出ないくらい眩しい
一面一色の白く輝く雪を
「 弔いの日〜貝殻を拾う少女のお話〜」
君は何度も何度も
しゃがみ込んで貝を拾う少女
それは脆く砕けそうな
ぼくたちの最期のお願いだった
そしてずっと青い霧の中を
手探りで歩き続けていた
そこは何も見えない
だけど手に触れたものだけは信じられた
どこにも行けないまま
もう時間だね
とうとう君は疲れ果てて
途方に暮れて手を広げたの
ぼくは肩を下ろす君の温かい眼差しに
「ありがとう」と言った
「さよなら」
「灯りひとつ」
遥か遠く西の彼方
月の産まれ落ちる場所
谷は深く空は近い
吹き下ろす風の入り口を探して
どこまで来たのか
長いこと歩いてきたんでしょう
貴方は深い森に覆われて
揺らめきながら消えて
そして
みるみるうち
みるみるうち
みるみるうちに
灯りがひとつ産まれ落ちた
「 魚たちの銀河」
ゆらめく水面の下を泳ぐ魚たちは
七色に光る尾ひれを振り
空に飛んでゆく
瞬く間にどこまでも行けるさ
遠くまでも
もう隠れていることないよ
そして光たちは川になってゆく
故郷の彼方へ
光散らしながら
泳いでゆく
泳いでゆく
泳いでゆく