深く濃い青空の下。
波の音を聴きながら仰向けに寝転んで、
女の子は、雲の行方を黒目で追っていました。
君はどこにいくの...
ふと、うっすらとした遠い昔の記憶が目の奥に浮かびました。
そんな、真夏の日差しが強い日のことです。
星を想う場所にて
~地平線を歩き続けていた少女~
女の子は砂の上で、ずっと下を向いて何かを探していたんです。
でも何を拾っても鞄にしまう前にホロホロと砕けてしまって、
時々鞄の中を覗いてみるんですが、粉々の砂つぶばかり。
いつになっても、何度夜を越えても、満足することがなかったんです。
それはもろくて弱いサンゴ礁の欠片でした。
女の子は砂浜をうろうろと、何月もそのようなことをしていました。
すると、ある日
女の子の島にガラスの目をした渡り鳥がやってきて、言いました。
「君はとても見えにくいものを探しているんだね。」
と、鳥は風に羽を滑らせながら、去ってしまいました。
ガラスの目をした鳥は、空を舞い一見優美なようにも見えましたが、
どこか心の深いところに、水溜りを浮かべているようにも見えました。
渡り鳥なのに一人で誰も知らないこんな島にやって来て、
いったい何を探しているのか、女の子は問えませんでした。
でも、鳥は途方にくれている女の子に何度か目線を届けてきては、
その透明などこまでも深く青いガラスの中に、
不思議な島を見せてくれました。
それは何月もの月日をかけてきた氷のように、
澄み切った青いガラスの島でした。
空の中で、一際浮いたその輝きに女の子はしばらく見惚れていました。
憧れに似たような気持ちでその光を追っていたら、
するすると円を描きながら旋回して、鳥は降りてきました。
「群れを離れて、長いこと青い花を探していたら、
いつしか涙がガラスのように固まってしまった。」
と言い、女の子の周りをシュルシュルと回りながら、
涙を吹き飛ばしてくれました。
風を自由に操りながら、高いところまで行ってしまった鳥に、聞きました。
「私も、あなたみたいになれるかな。」
鳥は答えました。
「なれるよ。だって君の目も、僕とおんなじ色だからね。」