「話のタネ」
バラバラになった花びらを
一日中集めてきて
玄関マットの模様に
並べてまってるの
あの子は満足気に
今日も一日のことを話し
雨の日は不満そうに
花が心配だったと言うだけ
からからになった花のように
粉になりたいような日には
海の中でクラゲみたいに
なりたいなんて思うよね
話せることがないと
あの子は庭のことを話し
悲しいことがあると
ぼそっと花が枯れたと言うだけ
ある朝ひらめき
本棚から何冊も出してきて
スイキンチカモクドッテン
なんとかなんとか…
知ったよと
あの子は種を持ってきては
冴えない話をして
つまらなそうにしても
話がしたいとやってくる
あの子はいつまでも
庭と雲行きを気にしている
私はそれだけを
ただ一日中気にしている