日曜日。
廃墟ビル一階
に集う。
そこには小さな飲食店。
コテフがあります。
波田野監督作品
「断層紀」
上映されるということで、
私も、そこに行ってきました。
素敵な映画でした。
秋田の見たことのある光景が映っていて、見てる間にも、いろんな記憶が次々に蘇ってきました。
私の話。
私の生まれた秋田。
幼少期、私はそこにいて、やはりそこも閉ざされていました。
両親は、そこにいませんでした。父は離れていて、頼りは母だけでした。
父はああいう閉ざされた場所を好きではなかったんです。
家の周り、
小川や田んぼが永遠に続きます。
行けるところまで行っても。行っても。
ほとんど景色は変わらない。そんなところでした。
閉ざされていて。テレビの中の映像はまるで夢で。遠い夢で。なんとなく無理だと諦めています。
雪に覆われれば、何もできない、ひとりぼっちな気分で。孤独で、寂しいという気分で。
外。私はあちらの人(年寄り)の言葉があまりわからなくて、まるでそこは外国で言葉が通じない人だと。そうほんとに思っていました。
私は話しませんでした。人と話すのは母親がいるときだけでした。ただ、母も常にはいませんでした。
だから
とにかく
ひとりで何か探しまわるんです。
その小さな世界にあるもの。
もちろん、見ようとしないとダメです。
小川の小さな魚や、空の綺麗な角度、色の違う時間。夜の流れ星。
虫や動物の鳴き声。
嬉しかったといえば
それだけです。
母親にそれらがあったことを認めてもらうのが嬉しかっただけなんだと思います。子供だから。
そんな秋田。薄い乾いた白い紙のような、思い出。